2.「評論文」で看図アプローチ
「みんなの実践」第2弾は,
李軍先生の「看図アプローチを用いた評論文の授業」です。
評論文を読むとき,まず必要なのは,本文の叙述に即して内容を理解することです。そのため,評論文の授業では,内容理解の指導に多くの時間が費やされています。
極端な例ですが,私(鹿内)は,最初から最後まで教師による内容説明と板書だけですすめられた評論文の授業を参観したこともあります。
しかし内容理解の指導だけでは「思考力・判断力・表現力」を育むことはできません。
生徒たちのアクティブラーニングを引き出すこともできません。
アクティブラーニングの実現や「思考力・判断力・表現力」の育成は新学習指導要領で強く求めれていることです。
にもかかわらず内容理解に偏った評論文指導が多くの教室で行われています。
その原因はいくつか考えられます。
「学習者の主体的な参加を促す場づくり・課題づくりが難しい」ということも原因のひとつです。
この難しさを克服するために李軍先生が採用したのが看図アプローチです。
「看図アプローチを活用した評論文の授業づくり」はこれまで誰も行っていません。
李先生の実践が先駆的研究になります。これからの研究を発展させていくために教材選びが大切になります。
李先生は,とてもよい教材を見つけました。
李先生が使用した評論文教材は,「ありのままの世界は見えない」(田中真知『高等学校 国語総合 現代文編[改訂版]』三省堂2017)です。
この教材を使って李先生は,次のような実践を行いました。
少し固い表現になりますが李先生の論文からそのまま引用しておきます。
李先生の授業で看図アプローチを体験した学習者たちは「見えているはずなのに見えていないものがある」ということに気づかされていきます。しかもそれは驚きに満ちた発見でもあります。
この気づきや発見は,
教材とした評論文の「深い」理解にもつながっていったのです。
看図アプローチを成功させるためには適切なビジュアルテキスト(絵図・写真など)と発見を導く発問・指示が必要です。
李先生はどんなビジュアルテキストを用いたのでしょうか。
どんな発問・指示をしたのでしょうか。
こういうことに関心をもたれた方はぜひ李軍論文をお読みください。
李軍論文の「おすすめポイント」はもうひとつあります。
李先生は「看図アプローチの特徴とその活用の意義」を丁寧に説明してくれています。鹿内がいろいろなところで書いてきたことをまとめてくれています。李先生は国語教育の実践者としての視点でまとめてくれています。そのため李先生の説明は「看図アプローチとは何か」を知りたい実践家のニーズを充分に満たしてくれるものになっています。
李軍論文の書誌情報は以下です。
『月刊国語教育研究』は日本国語教育学会の機関誌です。
比較的メジャーなジャーナルですので教育系や文系の学部をもつ大学図書館にはたいてい収蔵されています。
もし,李先生のこの論文にアクセスできない方がおられましたら,全国看図アプローチ研究会HP「お問い合わせ」から研究会事務局にメールをお送りください。李先生の論文が読めるように手配致します。